第3回目は、112高地。
この戦闘も組み立て初期のもので、設計図の描き方もあまり定まっていない頃に、比較的早く完成した面でした。完成とはいっても、しばらく別の戦闘を組み立てていて、思い出したように戻ってくることもありますが、そのような作業の少ない戦場であったことは確かです。そして、この面の構成を最低限とし、以降は、これ以上のボリュームで作ろうという、制作初期の目標面でもありました。図の、連合軍側の車輌に砲塔を黒くした物がありますが、それは後から追加される車輌も同じルートということだったか、極初期にはこのような描き方をしていました。
この面の自車の初期配置は、ストーリーモードのための、SS第102重戦車大隊の位置でしたが、それを変更せず製品に入れてあります。HJ師団の四号戦車であるこの第5中隊は、東側(図での右側)からの投入が正しい方向で、何両かがそちらから登場します。戦闘設計図の中央、やや右下に197の数字がありますが、そこが536号車のほんとうの初期位置でした。これらはフーベルト・マイヤーの、SS第12装甲師団史に続けて出版されたのか、別冊写真集の付録に状況図があり、それを参考にしています。この本も80年代に買っていたもので、10年以上経ってからこのような物の参考にするとは、当時は思ってもいませんでした。
その写真集ですが、この面の自車である536号車が何枚も収録されていて、全乗員の名前も確認できます。同じ車体で長い期間撮影された、珍しい四号戦車ではないでしょうか。15本のキルマークを砲身につけ、全員が戦車の前で微笑んでいる写真もあります。
『bis』のパッケージの時、それら一連の536号車の写真の中で、全員がそれぞれのハッチから顔を出している写真があったので、それをお願いしてみましたが入手できず、昼間の田舎道を走っている写真となったのでした。パッケージからも536は読み取れます。
写真の着色についてですが、デザイナーさんにお任せです。同じ着色写真では最初の製品版も同じで、そちらは3種ほどパターンを出してもらって、その中から決めました。
その撃破されたパンターの写真の方は、パッケージをどうするのか決めなくてはならない時期に、デザイナーさんがこれはどうでしょうと、『パンツァーズ・イン・ノルマンディ』の、この写真のページを開いて持って来てくれたのがきっかけです。戦闘から少し引いた視点の写真は、このゲームにふさわしいかなと、演出されたものと思いますが、よい写真です。販促用の大きなポスターとしても迫力がありました。
戦闘の組み立て図に戻りますと、112高地のドイツ兵には後退ルートがあります。しかし、士気数値最大の彼らは、後退せずに丘を守ったまま全滅してしまうでしょう。数値を低くすれば112高地から押し出されてしまい、この面はすぐに失敗となります。実際には動かれると困るので固定でも良いのですが、気持ちだけでも後退ルートを引いたのかと。最終的に、仕様上そうなっていたのか、そして、後退ルートが入れてあったのかは、今となっては忘れてしまいましたが。
112高地の戦闘設計図