『PANZER FRONT / アレコレ』第27回目は、フォート・カプッツォ。
フォート・カプッツォでの戦いは、1941年5月15日のブレヴィティ作戦の一部を利用しています。1ヶ月後の6月15日のバトルアクス作戦の方は、『フォート・カプッツォ2』として用意していましたが、そちらは入れることができませんでした。
ブレヴィティ作戦では、第4王立戦車連隊が南東から、バトルアクス作戦では、第7王立戦車連隊が南西から攻撃を仕掛けます。どちらも同じ歩兵戦車マークII、マチルダによる戦闘でした。
この面では、フォート・カプッツォに配置された1号対戦車自走砲でのプレイが気に入っていました。まず、遠く北側の国境付近で英軍の突破が開始されます。砲撃の音が遠くに聴こえ、それらエフェクトを眺めていると、今度は砦に25ポンド砲による砲弾が落ち始め、それを追うように東側からマチルダが接近してきます。最初は砦の東まで出て、マチルダを対戦車砲と待ち構えます。ここでの戦闘で対戦車砲は次々と撃破されてしまうため、砦を遮蔽物として使える場所まで後退します。その後は、ハリケーンの機銃掃射と、侵入してくる歩兵が厄介です。歩兵の小銃は車輌に対してはなんの影響も出ませんが、軽機関銃と対戦車ライフルには効果があり、乗員が負傷してしまうことがあります。そこで砦の内側に入ってきた英兵に榴弾を叩き込みますが、4.7センチ砲では効果が薄い。このあたり、なかなか緊迫する場面です。日本版とPAL版では内容が異なるので、日本版がどういうバランスかは忘れてしまいましたが、多少違っていたと思います。この戦いの1号対戦車自走砲ですが、歩兵との戦いに敗れた時、なんのエフェクトもなく乗員だけが倒れ無人にり、やがて傍らを敵兵が通りすぎて行くまでがセットという感じでしょうか。エンジンが止まると静寂が訪れますが、周囲の戦闘音は続き、それらはやがて遠ざかって行きます。
手元には、内容がPALの日本版があります。開発機材返却前に2セットだけ、未完成のフルセットを焼いてもらったのでした。
アフリカ戦線と聞いて、まず初めに思い浮かぶのはエル・アラメイン、次にトブルクとハルファヤ峠、そしてフォート・カプッツォあたりではないでしょうか。
フォート・カプッツォは国境の砦ですが、この形がよくわからない。正面の門のような入り口は有名ですが、平面図としてどうなっているのか。最近は、ポツポツと写真が出てきていますが、作っている当時はさっぱり分かりませんでした。ゲーム内では、広場を囲むように四角形の砦としましたが、実際にはもっと構造で詰まった建物のようです。特徴的な正面門は、1941年の夏あたりの崩れた状態で再現してあります。この後、砦は、度重なる両陣営の戦闘に瓦礫となったようで、1942年の頃に描かれた絵には形状をとどめていません。
現在のグーグルアースを見てもなんの痕跡もないのは、材料として何かに再利用されてしまったのでしょうか。瓦礫としても存在しませんし、敷地の土台さえも分かりません。
そしてゲームで重要なのは、この建物は、どの方向を向いていたのかということでした。いくつかの写真を見比べ、影を見たりと、方向のわかる手がかりは無いかと探しました。とにかく向いている方向は、東か南だろうと。国境から真っ直ぐに、建物前の広場に入るような構造では無いかと南向きとしましたが、間違いでした、たぶん東です。
砦から離れて並ぶ戦死者の墓は、街道が急激に東から北に曲がる場所にあったようで、そちら側、東を向いている可能性が高いのではないかと。この砦の、完成した頃の写真や図があるのでしょうか。
下の図は、フォート・カプッツォの簡単な図面です。こんな感じにと、とりあえずスタッフに渡したものです。PANZER FRONT内では、ルーデンドルフ橋、ライヒスターク、ブランデンブルク門などと同じような大きな構造物でした。